北海道札幌の自然

ヤマセミ ブッポウソウ目カワセミ科 山翡翠【Ceryle lugubris】 Greater Pied Kingfisher

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ヤマセミといいますと、なんだかヤマに住む昆虫のセミみたいな名前ですが、英名にキングフィッシャーと名前がつくカワセミという鳥の仲間で、日本全国で一年中、札幌近郊ですと余市川や豊平川上流などで観察出来る鳥です。

さて、スズメほどの17センチと小さく、体色が背中が青・お腹が茶色という派手な色をしたカワセミが北海道の場合少数越冬)、川の下流や、よどんだ池やちょっとした川や池に居るのとは違い、ヤマセミは主に山間部の綺麗な川や湖などにいる鳥で、体の大きさは日本で観察できるカワセミの仲間の中では一番大きく、ハト程の大きさで38cm程、体重も300g程の鳥です。

そして体色は胸・翼の裏などに茶色い部分があるものの、ほぼ体全体は白黒の鹿子模様をし、フワフワっと特徴ある飛翔する姿は、お腹に白い部分が多いせいでしょう、ああ随分白い鳥だなーあと思う鳥です

で、このヤマセミの黒白鹿子模様は、実にカムフラージュに効果的でして、冬場、ヤマセミが、川に飛び出た枝に、餌狙いで止まっていたとしても、そこは雪の白・枝の黒の世界、もし視界に入っていても、飛び立つまで解らなかったり、また葉の茂る夏場でも結構その模様は迷彩色になるらしく、ヤマセミの事を、岐阜県ではキツツキの仲間アカゲラの声に似たキャッキャキャという声を出す事からカワゲラと呼ぶ様に、そんな声がするので、近くに居るのは解っていても、なかなか注意をしないと見つけらない鳥です。

その上、ヤマセミは警戒心も結構強く、こちらが知らず知らずに近づいても、止まり木からいち早く、飛び去ってしまいますし、ヤマセミは一年中同じ地域に留まって生活している鳥でも、川の上流に住む+カムフラージュが巧み+採餌も人が余り居ない早朝や夕方を中心に行っていますので、姿をじっくり見た人は意外に少なくて、バードウオッチャーの憧れの鳥でもあります。

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さて、ヤマセミの特徴には、体の割に短い足に、ガケの土を掘り出して巣を作る為に必要な、4本有る指のうち3本の融合した指が付く事なども上げられるのですが、外見上見える一番の特徴は何と言っても、熊本や高知県では「カブトドリ」、鳥取では「ヤマカンヌシ(神主)」と言うように、通常は頭にピッタリと伏せられているので、余り目立たないものの、長いもので9センチ程も有る、そしてそれが緊張や興奮時に、まるでハリネズミの様に立つ、頭にある冠状の羽、冠羽を持つ事が上げられると思います。 

この冠羽は野外で遠目に観察していると、せいぜい20本から30本ぐらいある程度にしかみえませんが、捕獲して調べた方によるとこの羽は(体全体の羽の4、9%を占め)340本もあるということで、この冠羽はただ単に飾りの為の羽ではなく、魚を捕らえる水中に飛び込んだ時のショックを和らげる働きがあるようです。

カワセミ ブッポウソウ目カワセミ科 【Alcedo atthis】 Common Kingfisher

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さて、私が見た余市のヤマセミの餌取りの様子ですが、川に飛び出た木などに止まり、ヤマセミは水面をジッと見つめ、ダイビングのチャンスを待ちます。その折り水面に目が釘付けになったヤマセミは、直立させていた冠羽を時にはフーッと伏せたり、再び逆立てる事を繰り返し、見ているとその羽の動きは、水中の魚の動きにどうも連動しているようで、緊張しているヤマセミの気持ちまでこちらにも伝わって来るようです。で、そんな風にして水面を見ていたかなと思うと、キジバト程の大きさの鳥が4〜5M、時には高い10M以上もある鉄塔の上から猛スピードで水面にまるでモリでも打つようにダイビングします。

しかし、その折り、水面に突入する寸前で、翼を体にピッタリさせて、衝撃を和らげているようですが、そうして飛び込んだ時は、パシャンという音と共に水しぶきが周囲に大きく飛び散り、迫力満点。資料によるとヤマセミはそうした迫力有る採餌により、水面から≒50センチもの深い所を泳いでいる魚も取るようです。

そしてその捕まえた魚をどの様にして食べるかというと、魚の頭をくわえては叩き、尾をくわえなおしては叩くを繰り返し、魚のえらが喉に引っ掛からないよう、必ず頭からいっきにゴクンと飲み込みます。

カワセミが夏中心に見られるのとは違い、ヤマセミはなかなか出会えないものの、冬場も見られる鳥ですので、ちょっと山の中の川などに行かれる折りが有られたら、と気を付けてみては如何でしょうか?

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