北海道札幌の自然 |
||||||||||||||||
ウソ スズメ目アトリ科 鷽 Bullfinch 【Pyrrhulapyrrhula】 下画像上段がオス(亜種アカウソ)、下段が左が雌、その右がアカウソ雌 動画はこちらから→「ウソが嘯く(うそぶく)」、「桜の花芽を食べるウソ」 |
||
我が家の庭に来ている鳥は何種か居るのですが、その中の1種でほぼ毎年2月上旬ぐらいから我が家に来ているウソについて、お話したいと思っています。 この鳥を漢字表記にすると、嘘を付くという漢字「鷽」と書きます。この名前の由来はよく解っていなくて、一説では「口笛を吹く」という意味、九州の方言〈うそぶく〉にから来ているとされているようです。 確かにこの鳥は「フィフィ」とまるで人の口笛の声で鳴き、昔は口笛をウソ ( 嘯 ) と呼びんだようですから、この鳥の鳴き声が人の口笛を連想させるので名づけられたのかもしれません。 |
||
左 アカウソ 雄、右 アカウソ 雌(尾羽外に白い部分あり) |
||
属名にはギリシャ語の「赤い野鳥」、英名にずんぐりした首にちなんだ意味の単語を使っているこのウソ。まあ確かにこのウソは雄も雌もスズメより若干大きく、体型はずんぐりとした野鳥で、雌は全体に灰褐色ですが、雄は全体にグレー色、頭と尾の部分は黒、そして頬と喉部分が赤、亜種アカウソ(アカウソの主な繁殖地はサハリンと言われている)になると、もっと胸の部分まで赤い色です。で、属名ギリシャ語の「赤い鳥」はヨーロッパのウソは、ベニバラウソというもっと、もっとアカウソよりも真っ赤な野鳥ですし、英名「ずんぐりした鳥」と言う名がついたのでしょう。 またこのウソをアイヌ語ではシケレペチリ、キワダの果実の鳥と申します。ウソはその名の通り、我が家でも桜(ソメイヨシノ)の大きい木を、葉芽ではなく、花芽の蕾を好んで食べています。ですから、桜の名所や梅の果実園が有る所によっては、大切な蕾を食べてしまうこの鳥を有害鳥に指定しているところもあるようですね。 |
||
確かにこの鳥は我が家に、多い時で約10羽程群で来ていたのですが、ひとたび来出すとほぼ毎日、しかも朝から晩まで、そんな群で、あまり動かず、ただひたすらもくもくもくもくと、かたっぱしから口と舌を上手に使い、花芽の芯部分だけを食べ散らかして行くので、ああ、今年は桜の花の咲く数が少なっちゃーうよーお、と私も思うわけです。 そんな訳で来た当初は、色といい形といい、お上品な和菓子のような趣もある鳥ですし、そんな訳で昔はよく籠で飼われていた鳥ということですから、ああ、また今年も来てくれた、なーんて始めは私も嬉しがっているのですが、そう余りに毎日来ると、ちょっと私もいじわるをしたくなって追い払おうと思ってしまいます。 ところがこの鳥は、私が口笛で真似をすると、私の近くまで寄って来たり、また雌は枝に似ている色をしているからカムフラージュに自信があるからどうか解りませんが、雄よりも雌は近く、大体3m弱の所まで私が近づいても逃げず、どうもこの鳥は余り人を恐ろしがらない鳥なのかもしれません。 な、わけで大抵私の追い出し作戦は失敗に終わります。 またこのウソは、今時期は平地の公園や庭の桜や梅の木に来ていますが、夏になると本では北海道や本州中部以北の山地や針葉樹林で繁殖するため、平地では見られなくなる鳥です。ですから、もう少しで我が家にも来なくなり、ちょっとの我慢とは思うのです |
||
左 ウソ雄、右 アカウソ雄 |
||
文献によると、夏場上記のような場所(北海道、本州中部以北)で、♀だけが子育てし、時に卵を抱いている♀に♂が食べ物を運んで来て、口移しに餌を上げる仲睦まじさ。また雛が大きくなって、餌を雛に与える時も、ウソの♂♀は仲良く、一緒に行動し、同じ場所で採餌しているようです。 またこのウソ、雛には昆虫と植物種子・花芽を親が食べてきて、細かくして吐き出して与え、時に2回繁殖するようです。 しかし、1回目の繁殖時には、昆虫だった餌が、2回目の繁殖になると、植物の実や蕾を与えているという話しで、大抵の野鳥は、繁殖時=雛に昆虫を与えていることが多いのに、2回目とはいえ、このように植物性の餌を与えているのは珍しいです。 繰り返しになりますが、このウソと言う鳥は、桜並木がある場所や、画像にあるようにナナカマドの実、アキグミの実も大好き。口笛のようにフィフィと鳴いて居ることも多い鳥ですから、皆さんちょっと桜並木付近を通られたら注意されてみては如何でしょう。素敵な鳥に出会えるかもしれません。 |
||
下 アカウソ 雄、アカウソ 雌 |
||
ウソ 雄 |
||
ウソ雌 |
||