北海道札幌の自然 |
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ギンザンマシコ 銀山猿子 スズメ目アトリ科 【Pinicola enucleator】Pine Grosbeak |
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一枚目はギンザンマシコの♂♀、赤が♂、♀が黄色、若いと白い部分あり |
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体全体がほぼ真っ赤な「ギンザンマシコ」という、ちょっと札幌市内で見るのは珍しい野鳥が、放送時の2001年お正月、札幌市内で2週間程続けて観察でき、また今年2006年は札幌市内のあちこちでこのギンザンマシコが確認でき、まるでその様子は、冬に咲く、赤い花の様で、大変綺麗でした。 さて、ギンザンマシコなんて、随分変わった名前ですが、ギンザンマシコは漢字で書くと、銀山猿子と書きます なぜ、猿子なのかといいますと、今日のギンザンマシコ始め、アトリという冬になると確認する事が多い小鳥の仲間には、ベニマシコとか、オオマシコとかいう鳥も居るのですが。これらはどれも♂だと体色が真っ赤。 それで、お猿のお尻は真っ赤っかと言う言葉がありますが、お猿の顔・御尻の色からでしょう、これらの鳥は体の色が赤いと言う意味で、お猿の子、猿子という名前が付く様です。 銀山のほうは、ギンザンマシコと同じく体に白い2本の白帯があるオオマシコを、ギンスジマシコと昔呼び、そのオオマシコとギンザンマシコを混同していたようですから、ギンザンマシコはギンスジマシコの変化かもしれませんが、これは良く解っておりません。 |
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ギンザンマシコの体の大きさは20センチ程、雀より随分ゴロットして、太っちょで大きく、ムクドリ程の鳥で、別名松雀ともいう程ですから、好物の硬い松の実を砕き、中心部分だけを食べられる様に、黒く太いクチバシを持っています。 彼らの繁殖地は、ユーラシア北部や千島列島等、日本では北海道大雪山旭岳などの高山のハイマツ帯。 真冬はさすがに高山では積雪で餌が無くなるので、里に下りるものの、一年中その付近に留まって生活したり、時にはもっと下りて北海道の場合、町中のナナカマド並木などにやって来ますが、本州では滅多に記録が無い、珍しい鳥です。 実は私、この真っ赤な鳥、ギンザンマシコが憧れでして、過去何度か旭岳ロープーウエー付近のハイマツ帯に行き、観察しましたが、もともと、もの凄く個体数が居る鳥では無いので、いつ行っても瞬時しか見れず、スゴスゴ帰って来ていました。 |
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さて、ギンザンマシコは、上記に上げた松の実の他、ナナカマドの実も好物と聞いてもいた私。 2000年は北海道=冷夏だった為かナナカマドの実が余りなっていないのに、札幌市内のあるナナカマド並木には、何故かナナカマドの実が多数実っているのを見つけ、ひよっとしたら今年は憧れのギンザンマシコをわざわざ旭岳に登らなくても、その見る事が出来るかもしれないと毎日毎日そのナナカマドの有る並木道を2000年12月中頃から見ていたんです。 すると2000年暮れ、信号待ちの時にチラッと見たムクドリの50羽程の群れの中に、オヤっ、フトッチョのムクドリと全然シルエットが違う鳥がいるぞ、と良く見たら、ギンザンマシコの♀だったわけで、見つけた時は思わずガッツポーズでした。で、ここでは最終的に、多い時で♂3羽、♀4羽を見る事が出来たんですが、こんな数のギンザンマシコが札幌市内の街路樹でまとまってみられたのは、私の聞くところによると10年振りだったらしいです。そして今年2006年11月南区と、これも6年振りの記録になるわけですね。 |
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さて、ギンザンマシコで、まず驚いたのは、人が近づいても全然逃げない事でした。奥深い山で生活しているせいか、人を知らないというか、手を伸ばせば触れそうな位置ででも彼らは平気でナナカマドの実を、大きい太い嘴でしごいて、実だけを食べたり、近くの松の木の中に入り込み、松の実を食べたり、時には桜の芽もバリバリと食べていました。 また、体が大きいからでしょうか、♀でも囀る事が有るとは聞いていましたが、♂もめすもピピツと大きい、しかし柔らかい特徴ある声で何度も鳴きましたし、じっくり近くで姿を見せてくれるし、鳴いてくれるし、私は大感激しました。 ただ、この珍しい鳥が現れたという事で、写真を撮られたり、観察される方が日に日に多くなってしまいでも、ナナカマドの実があるかぎり、松ぼっくりがあるかぎり、春までギンザンマシコを見る機会があるかもしれませんので、ナナカマド並木、松並木、桜並木は要注意というお話でした。 ギンザンマシコ古名=おほいすか・えとろふとり・えぞいすか |
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