北海道札幌の自然 |
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ユキムシ(トドノネオオワタムシ) |
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【ユキムシ】(トドノネオオワタムシ) 【学名】 Prociphilus oriens 【分類】カメムシ目(hemiptera),アブラムシ科(Aphididae) 【分布】北海道〜本州、シベリア 【大きさ】最大長さ4mm 北海道ではユキムシ、雪虫の名で親しまれているこの虫は、正式名=トドノネオオワタムシというのですが、昆虫類有吻目アブラムシの仲間の昆虫で、北海道には10数種いるようです。 彼らはアブラムシが植物の液汁を吸って生活するように、春と夏とで、寄生する植物を変えながら、樹液を吸って行きている生物。 詳しく書くと、春にはヤチダモ類の葉裏で生活し、5月上旬頃に成熟した基母が処女生殖によりまた多数の♀を生むのです。 またその♀も早熟多産で、次々に処女生殖を重ね、生まれた子虫は、数日間の蛹後、翅を持った成虫になり(これが第二世代)、この第二世代が7月頃にトドマツに移動し、卵を産み、夏の間はこのトドマツの根(トドノネ)で、アリと共に生活しながら、第三世代の子虫=♀を産卵。このトドマツで育った成虫が綿をつけてユキムシになるのです。 つまり、この虫=画像の虫は皆、♀。 そしてこの♀が、再びトドマツの木からヤチダモの木に移り(この飛ぶ様を私たちは見ている)緑色と、オレンジ色の子虫を生むのですが、ここでの緑色の子虫が初めての♂。 で、この緑の♂の子虫は餌を取る口も持たないで、寿命はたった1週間ほど。そしてその間に♀がこの♂と交尾し、越冬する1個の卵を残し、死亡し、一年を終える。 北海道ではこの雪虫が飛ぶと初雪が降ると言われています。 それは温度変化を感じていること+日の長さの変化、また雪虫の餌であるトドマツの養分が変化することが理由と考えられていますが、雪虫が飛ぶ日=お天気が良い日。それは晩春の天気の場合、降雪日の前日や、2日前が最も天気が良くて、暖かくなると言われているから、飛ぶ日は初雪間近というわけらしい。 なお、ユキムシの白く見える部分はロウの様な物質で、ユキムシが地面に居る時に、土や水分から身を守るためと、空を飛ぶ時にふわふわ漂いやすくするためにあると言われています。 しかし、これは、繰り返しますが、アブラムシの仲間。飛ぶ姿は天使のようだが、実は害虫。 でも、年々その数は減少気味になっている。 初雪が降る、数週間前にヤチダモに一斉に引っ越しする雪虫(ユキムシ、トドノネオオワタムシ)達風景=北国ならではのものですね。 |
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雪虫が飛ぶ様 |
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