北海道札幌の自然

アマツバメ アマツバメ目アマツバメ科 雨燕 【Apuspacificus】 NorthernWhite-rumpedSwift 動画アマツバメアマツバメ2アマツバメ3アマツバメ4

曇りや雨の日には結構空を低く、しかも群れでジユリリリっと特徴ある声を出して飛ぶブーメランみたいな形で凄い速度で飛ぶ黒っぽい鳥を、北海道の方なら、夏、見かけたことはないでしょうか?

そんな鳥を見かけたらそれは多分アマツバメと言い、燕とは名が付きますが、良く聞く名前の燕「ツバメ」という鳥とは、足のつくり・採餌方法が違う事からツバメとは別に分けられている種類の野鳥です

アマツバメは、この鳥は夏鳥として、全国に渡って来て、主に海岸や崖のある山地などで、集団で営巣し、物凄い高速で飛び回り空中に浮遊する虫を捕食して生活していますが、北海道の場合、標高に関係なく、夏の北海道全域の海岸の崖や山地の崖、札幌ですと札幌西区山間部等、北大上空、西岡水源地など結構多く見られる可能性が有ります。

で、このアマツバメは、普通は高い空にばかり居るのですが、雨天が近づくとまるで天気予報のバロメーターの様に比較的人の目につく低空にまで降りて来て人目に付くので「雨、アマツバメ」と名が付いたんです。

また、彼らは属名に「足の無い鳥」と名が付いている程、地上には営巣以外には降りて来ない野鳥でもあります。

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もともと鳥というのは空を飛ぶ脊椎動物としてはもっとも適応した動物ですが、中でもこのアマツバメは空中生活への順応への巧みさにおいても彼らの右に出る者は居ない、天空の覇者と言っても良い程飛翔能力に大変優れた鳥なのです。

ですから時にわたくしが探鳥案内をしていると、何しろこの鳥が飛ぶのが早すぎるもので、御案内している方々に説明しようとも、「あれがアマツ…」と言っているうちに視界から消えてしまい、「うーん、もう少しこの鳥の名前が短いか、もう少し遅く飛んでくれれば」、等と恨めしく思えてしまう程早く飛ばれてしまうので、一番説明に困ってしまう鳥です。

小樽には塩谷円山という登山に手頃な山が有りますが、随分前にこの山に登った時、私の真横をこの鳥がブンブン凄い音を立てて飛び回りました。それはそれは凄い速さで、もの凄い音を立てて私の回りを飛び回ったあの風を切る凄い音、随分前の事でも凄く印象的で鮮明に思い出します 

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アマツバメは全長約17センチ〜20センチ、翼を広げた長さは43センチ〜54センチで、体の割に大きい翼を持ち、なおかつスマート。

ですから、彼らの飛ぶ姿は、先程も申しましたようにちょうどブーメランの様に見えます。

体色は♂♀同色。殆ど体全体は黒っぽいのですが喉や特に腰の白色が目立つ鳥です。

さて、このアマツバメがどの位長く飛ぶか、何故天空の覇者なのかの理由はと申しますと、彼らは普通の鳥と違い枝に止まったり、地上に降りることが無いのです。ですから足があるには、あるのですが、短くて、属名で足が無い鳥なんて言うのでしょう。

つまり子育て以外の生活、巣に入る時以外は全て全て空中で過ごす、採餌も、水を飲む事も、水浴びも、羽繕いも、交尾も、巣在までも空中で取り、さらに驚くべき事に睡眠までも空中で飛翔しながらするのです。ちょっとそんな鳥が世の中に居るんですよーお、凄いでしょう。

コケイラン

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それでは、何時彼らは眠っているのかと言いますと、水中に居るイルカなどは水中にずっと居ると呼吸が出来ない為に、半分の脳で睡眠し、もう半分の脳が交互に起きて、ずっと泳ぎ続けられる事が知られていますが、このアマツバメもおそらく数分か10数分かの小刻み睡眠と覚醒を繰り返して、つまり滑空している時に眠り、覚醒時に羽ばたいて高度を取り戻す事を交互に行っていると言われています。

ですから、彼らは長距離の渡りも全然平気なようで、ヨーロッパのアマツバメの標識調査で見つかった例では、巣立った幼鳥=幼い鳥が、初めての繁殖の為に戻ってくるのは3年から4年後でした。もしこれが確実ならば彼らは巣立ち後3年以上、一度も翼を休める事なく跳び続けていた事になります。

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また彼らの採餌方法も変わっています。彼らが後天時に採餌する高い空に居る虫は、自力で飛んでいる虫は少なく、大部分は風や上昇気流で吹き上げられた小さいものばかりですので、彼らは大きい口を開けて高速で飛び回り、まるで空中掃除機のようにしてこれらの小さい昆虫を吸い込むのです。またこの吸い込んだ虫を体の一部に貯め、唾液で固めて約2センチぐらいの丸い形にして、そのまま雛に与えます。

その餌は、ある文献によりますと、1つをほぐすと1000匹以上の虫が固められている事があるそうです。

普通の燕の場合は、彼らの採餌場所は地上すれすれの空域、つまり大きい虫が多い場所で採餌するので、飛ぶ速度よりも旋回能力や機敏性が要求されますが、このアマツバメは障害物の無い高い空を出来るだけ広く駆け回る貯めに高速で飛ぶ事が必要となり、つまり彼らの飛ぶ速度は虫を追い掛けるのでは無く、単位時間あたりの捜索面積を多くするためで、一見似たような習性でありながらも、燕とアマツバメは空の領域と食物源を巧みに分け合って生活していると言えます。

そんな飛翔に優れた鳥が、結構身近で、特に雨降り近くや雨降り後に観察出来るものですから、みなさん、夏のそんな日はちょっと空を見上げてみてください。

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